汚染水(処理水)問題を考える |
汚染水(処理水)問題を考える
福島第一原発に溜められていた汚染水がついに海へ放出され始めました。この問題についてはずっとフォローしていましたが、最近は報道の偏りを強く感じています。特に政府が原発の継続を決めて以来政府系のプレスリリース以外にも電力会社の電気料金を使ったCMや報道機関への圧力が高まっている事を感じます。
科学的にと言いながら、非科学的な安全宣言を垂れ流されている状況が見られますので、冷静に汚染水問題を考えたいと思います。
まずは呼び方の問題ですが、日本政府や電力会社が国内メディアに「処理水」と呼ぶように圧力をかけているだけで、海外ではRadioactive contaminated water 汚染水です。
なぜ汚染水かというと、確かにアルプスという処理装置を通してはいますが、7割以上がトリチウム以外の放射性核種を含んでおり(200種以上)、これまで海洋処分が認められていない汚染水だからです。その意味では中国側が「核汚染水」と呼んでいるのも妥当だと思います。汚れた水をイメージ作りのために「処理水」と呼ばせるのは言論ファシズムで国民を間違った選択に押し込んでしまいます。
中国や韓国がトリチウム水をたくさん放出しているという議論がありますが、それは各原子力発電所がそれが妥当かどうかは別にして、当然のごとく漏らし続けてきたトリチウム水で他の核種が含まれていないことが前提となっています。今回のように高濃度放射性廃棄物(デブリ)に直接触れた汚染水とは違うというのが他の国の主張です。
では、その量が一番多いと言われているトリチウムは安全な物質なのでしょうか?トリチウムは生物にとって水と見分けがつかない物質で、生物は水と間違えて体内に取り込まれ内部被曝を起こします。濃度は低いとはいえ生物濃縮を起こす恐れもあります。「原子力発電所から漏れるのは止めることはできない」とIAEAなどの原子力利用組織は主張して垂れ流してきました。でも原子力発電さえやめれば止めることができます。
日本も原子力発電をやめてトリチウムを漏らさない国になれば、韓国や中国に漏らすなと要求することができます。今太平洋の水を調べてみるとトリチウム以外に西洋諸国が自国から離れた太平洋で核実験した結果の放射性物質を発見することができます。これ以上私たちの目の前の太平洋を汚すことは許されません。
「もうタンクを置くスペースがなく処分しないと方法がない」と主張していますが、福島第一原発の敷地内のスペースがなくなってきただけで、例えば福島第二原発にも場所はありますし、第一原発の周りには不幸な原発事故のために使い道のなくなってしまった土地が広がっています。
ではなぜ政府は風評被害対策など余分な金をかけてでも放出を強行しようとするのでしょうか?実は汚染水を大量に出す施設がもう一つあります。青森の六ヶ所村に作ろうとしている高濃度放射性廃棄物再処理施設です。そこが本格的に稼働すれば今回の放出量以上の汚染水の放出が予想されています。そのための実績づくりが今回の汚染水の放出だと考えられます。一度安全だと無理やり通してしまえば、被害が出ようと誰も因果関係を証明することはできない言う計算があります。イギリスの再処理施設の周りでは様々な被害の疑いが出ていますが証明するのは簡単ではありません。汚染されてからでは遅いのです。
トリチウムの処理も不可能ではなく、将来コストも下がることも予想できますし、それ以前に流入する地下水を凍土壁などではなく、しっかり止めるなど根本的対策が必要です。
全く見通しのつかないデブリの取り出しを含めて、根本的な福島第一原発の廃炉方法の再検討が必要です。